私が旅行と同じくらい好きなのが野球です。
2016年10月29日、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島に行ってきました。日本シリーズ第6戦、広島東洋カープvs北海道日本ハムファイターズを見るために。
結果は、見事、我が北海道日本ハムファイターズの優勝で2016年のプロ野球は閉幕しました。
しかし、カープファンの情熱は凄まじいものでした。こんなにも地元から愛されてる広島東洋カープという球団が羨ましいと思うほど。
私は北海道出身ということもあり、北海道日本ハムファイターズが北海道に移転してから、ずっとファイターズファンです。
この十数年、ファイターズを追いかけて、全国各地でたくさんの試合を見てきましたが、カープとの試合を広島で観戦するのは、この日が初めてでした。
広島東洋カープの魅力とスポーツツーリズムの可能性
過去に、中日、巨人との日本シリーズを観戦するために、今回のように敵地に乗り込んだことがありますが、広島はまた別格な雰囲気と桁違いな勢い。
広島県民、全員カープファンじゃない……?
地元のシンクタンク、中国電力エネルギア総合研究所では、カープ優勝の経済波及効果を278億円と見込んでいる。筆者がザックリ試算したところでも、軽く300億円を超える数字が出てくる。
カープが優勝した場合の経済効果は、300億円超えと言われていました。
これは、東京マラソンを超える経済効果です。
カープが勝てば金利があがる応援預金が好評の広島銀行は「カープを応援しよう!定期預金」を総額700億円で募集。なんと、3月の発売開始から3カ月足らずで完売してしまったそうです。凄まじいカープ愛。
約300万人の人口を抱える広島県だが、県民1人がカープ優勝に関連してわずか千円の消費を増やしただけでも30億円もの経済効果が発生するのだ。
全国各地でファンを増やして広島にきてもらうのも大事ですが、まずは広島県民をカープに夢中にさせることが、地方活性化の近道なのです。
とにかく、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島が面白い
今回、初めて行ったMAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島(以下、マツダスタジアム)。
今までにないタイプの球場でした。ぐるっと一周してみたのですが、球場そのものが面白い。まさに、ボールパークです。座席の種類も多くて魅力的。天然芝なのも素晴らしい。
そして、グラウンドの影のでき方……
太陽の沈む方向を見て気づいたのですが、マツダスタジアムはアメリカ式なのです。
こちらは甲子園球場の地図。
ホームベース側が北側で、外野が南側という日本の球場のオーソドックスな形。
このタイプは、守備をする選手たちの正面から直射日光が当たらないという利点がありますが、ファンの座る内野席への西日が厳しいのです。夏の高校野球を見ていても、観客への陽のあたり方がすごいですよね。
しかし、マツダスタジアムはファンに優しいアメリカ式。
メジャーリーグのように、内野スタンドが日陰になるように作られています。ホームベースが南西にあるので、デーゲームだと選手たちは少々守りにくいそうですが、それでも観客最優先の設計を採用しているのです。
そして、球場で流れている音楽が、広島県出身アーティストの楽曲のみということにも気づきました。この徹底した広島県民愛がとにかく素晴らしい。
とにかく、チームカラーの赤の威圧感がすごい
そして、チームカラーの赤がとにかく可愛い、かっこいい。
そして、ユニホームをお洒落に着こなす、カープ女子。ホームなので、選手たちは白いユニホームを着ているのですが、多くのファンが着ているのは真っ赤なユニホーム。
古来より赤色は戦の色として利用されており、効果があります。アドレナリンが大量に分泌されると神経や血流を刺激し、交感神経を興奮させ、気赤いユニフォームの選手の勝率は55%というデータもでており、サッカーチームなどでも赤いユニフォームのチームが多い事も納得です。
燃える赤は、スポーツをする上でとても良い効果があるそうです。
しかし、日本球界でチームカラーが赤なのは、カープのみ。真っ赤に染まるマツダスタジアムは、脅威を感じるほど迫力満点です。
球団とファンが一丸となって育てる金の卵を見守る
カープとファイターズの共通点は「選手を育てよう!」という気持ちが強いところ。
無名の「金の卵」を発掘して、育成し戦力にする。マネーゲームよりこの育成が何よりも難しくて、面白い。選手の成長を何年もかけてみんなで見守ります。
なので、他球団への移籍はとても寂しいのです。
例え敵になったとしても、移籍先での活躍が気になる。「いつでも帰っておいで!」という気持ちも芽生え、もはや選手の親のよう。。
こちらは、日本シリーズ第6戦の両チームのスターティングメンバーです。
両チームとも、ドラフト戦略と育成が上手く行っていることを象徴するメンバー。ファイターズの選手の総額年俸は、25億円と決まっています。限られた予算内で最高のパフォーマンスを出すには、人材育成が不可欠です。
これは、野球に限らず、一般企業も同じではないでしょうか。
マネーゲーム、FAに頼らず、今いる選手を全力で育てる。当たり前のように思えるこのことができているのは、日本球界でカープとファイターズだけだと思います。
勝っても負けてもやっぱりプロ野球は面白い
落合博満氏は「勝つことが最大のファンサービスである」と言っていました。
しかし、何気無い全力プレーだったり、選手の真摯に野球に取り組む姿は、私たちファンにとって一番のファンサービス。
シーズンを通して、泥臭くも全力でガッツあるプレーを実践し続ける選手は、球団からもファンからも愛されます。カープは「全力プレー」な選手が他球団より多い気がしました。
ファンになる理由は意外と単純
野球ファンになる理由は、案外単純です。
親が応援しているから、自分の地元の球団だから。このような理由だけで、地元の球団を応援するのです。
応援しはじめると、ファンを辞めるという概念がなくなります。家族全員で同じチームを応援するのは、とても楽しいものです。
特に、子どもは父親より母親と一緒に過ごす時間が多いため、母親の好きなものに影響されやすいそうです。なので、いつの間にか、子どもも母親と同じ球団を応援するように。そして、またその子どもが、自分の子どももファンにさせるという止まらない連鎖が続いていくのです。
この連鎖は磐石なため、女性への売り込みは、どのマーケティングでも重要視されています。
本気で広島女子を日本全国に送り出せば、そのうち日本のプロ野球中がカープファンだらけになってしまうのではないか、などと真面目に思うわけです。
「カープ女子」という言葉が確立されるくらい、カープには女性ファンが多いです。
カープ女子を増やそうとする動きは、未来のカープファンを育てているようなものなのです。
スポーツは人と街を元気にしてくれる
最近、「スポーツツーリズム(スポーツ観光)」という言葉が注目を集めています。
スポーツを資源と考え、観光客を呼び込み、地方活性化を行おうというものです。
スポーツを通じた、地域・経済の活性化や観光との融合、ヘルスケア・健康の観点でも大きな期待を集めています。競技性や健康の維持、教育的意義などに留まらず「スポーツ」の産業価値を幅広くとらえ、スポーツの有する経済的な力を我が国の成長につなげる、今はまさに絶好の機会なのです。
人口が減少していくことが間違いないこの日本で、これからの成長が期待できるビジネス分野が、スポーツと観光と言われています。
この2つは親和性が高く、他の産業へも広げられる利点もあります。
遠征観戦もスポーツツーリズムのひとつ。
「せっかく広島まで行くのだから、他にもいろいろ行ってみようかな。広島焼きも食べたいな。牡蠣も良いなあ。」と、スポーツ観戦がきっかけで、他の場所に足を運び、お金が動きます。
人が来れば街が潤い、雇用が増える。仕事を求めて地方から大都市に出る必要もなくなります。地方の人口流出、東京一極集中がまだまだ続くなか、スポーツツーリズムの可能性は無限大です。
広島、また行きます。